思わず見返したくなる1枚を撮影する事。
私が大切にしている想いの一つです。
先日、とてもあたたかい想いをお伺いすることが出来ました。
寂しいけど、それ以上に、良かったなと。この仕事をしてて幸せと自身の使命を再確認できたお話を少し今日はさせてください。
撮影をさせていただきましたご家族様が亡くなる事。
10年以上このお仕事をしていれば何度かあります。
去年の七五三の際に、ご自宅からの撮影をご希望されたママ。
神社にはもう、足が悪くて一緒には行けないけど、家の中で一緒に撮影をしてもらいたいおじいちゃんがいるという事で撮影をさせていただきました。
お仕度が終わると、隣のお部屋からゆっくりとした足取りで。
ゆっくりと腰を掛けて、お仕度が終わり満足そうなお孫さんを見て優しい笑顔が溢れました。
そんなおじいちゃんの膝の上にちょこん、と乗ってポーズをとってくれた3歳の主役さん。
もう、それだけで、皆自然と笑顔になりました。
写真を納品したら、「家族みんなで驚いたんですよ!おじいちゃんのこんないい顔、撮影出来て良かったねって。普段なかなか笑顔の写真なんて撮影出来ないおじいちゃんの貴重な1枚で、本人も「いい顔してるな~」って喜んでたんですよ」とお礼のメールを頂き、もう、既にそれだけでもすごく嬉しくて、良かったな~って思っていました。
今年になり、おじいちゃんが亡くなって。
遺影写真を家族で選ぶ際に、満場一致で、あの日のあの写真を使おうって話になったと。
何よりも本人も気に入っていた写真だったし、会場の皆もいい顔してるねって嬉しそうにお話してくれましたと。
そんなお話を聞き、本当に嬉しくて。切ないんだけど、本当に嬉しくて。
過去にも遺影写真として使わせて頂きました、とお礼のお言葉を頂くことがありました。
そのたびに、こんなに光栄なことはないと、いつも、いつも胸を熱くしました。
遺影写真って、本人が気に入ってくれている写真を使う事も大事なんだけど、私的には残されたご家族様が毎日お仏壇に手を合わせる際に眺める1枚だから。生前の自身に優しく微笑みかけてくれた笑顔だったり、いつもの顔だったりの方を選んでくれる気がしていて。
その写真とふと目が合ったときに、一緒に過ごしたあたたかい日々をふと思い出せるような1枚がいいなって思う。
だから、本当に、こんな撮影冥利に尽きることないなって。
あの時、お会い出来て良かったなって。
撮影出来て良かったなって。
ご家族様が喜んでくれてよかったなって。
しみじみ思いました。
頂けたいくつかのそんな想いと、そんな想いを受け取れた自身のこの想いを大切に。
どんな状況でも、どんな瞬間でも、想いを込めて。やっぱりご依頼者様やレンズの前で一瞬でも微笑んでくれたその瞬間を瞬きをこらえて、写したいなと強く思いました。
皆様からのそんな想いを受け取れて、幸せです。
本当に、大切な想いを託してくれてありがとう。
(掲載している写真は文章には関係ない日々の記憶のかけらです)